陽気なラップバトルだと思ってたヒプノシスマイクが、実は闇と沼の深いコンテンツだった②

前回、ヒプマイの基本情報と私がハマりだした経緯をお話しました。

シブヤ・ディビジョン、夢野幻太郎推しになり、絶対に聞いてほしい曲「Stella」の紹介をしたところで終わったと思います。

今回はこの記事の核心、Fling Posse(シブヤ・ディビジョン)が全然ポップじゃなく、闇と沼だった内容を話したいと思います。

前回の記事はこちらになります。

tamakotton-621numa.hatenablog.com

 

飴村乱数の秘密① ※ネタバレあり

早速ネタバレになりますが、Fling Posseのリーダー飴村乱数は中王区と繋がっています。

中王区とは女性が政治を行っている場所のことです。

前回の記事で、ヒプマイの世界では女性が覇権を握っていると説明した通り、女性のみで政治を執り行っています。また、男性は女性達の10倍の税金を納めなければいけなかったり、色々と制限が課せられています。簡単にいうと女性の独裁政権です。

そのため男性たちは、ディビジョンラップバトルで力を付けて、この歪んだ世界を変えてやろうと目論んでいます。

男性たちが今の生活に不満を抱いていることは、中王区のお偉いさん方もわかっていることでしょう。そこで、怪しい動きをするものがいないか見張り役として、乱数を置いたと考えられます。

乱数が中王区と繋がっていることは、CD「Fling Posse VS 麻天狼」に収録されているドラマトラックで判明します。

どうして乱数なのか・・・正直ポッセ推しとしてはショックでしたし、みんなのことを裏切ってしまったら悲しい。乱数はどっちの味方なのか・・・中王区は見張り役以外にも何か思惑があるのか・・・色々と考えていました。

その後リリースされた、1stフルアルバム「Enter the Hypnosis Microphone」のドラマトラックの最後では、中王区側の人間がこんな話をしています。

「飴村乱数はまだまだ不安定」「奴の完成品ももう少しでできる」「彼が壊れる前には完成品をいただきたい」

なんだか物騒な言葉が並んでますね。乱数が人ではないような言い方。不安定、壊れる、これはの彼の精神状態のことなのか。

どっちにしろ、これらの会話から、中王区は彼のことを道具としか見ていないことがわかりました。

乱数自身もそのことはわかっており、いつか復讐してやると呟いています。

 

 

 

 

乱数のソロ曲怖すぎ事件 ※ネタバレあり

2020年2月某日、事件は起きました。

2/26発売のFling Posse単独の2枚目のCD、「Fling Posse-Before The 2nd D.R.B-」に収録される乱数のソロ曲のトレーラーが公開されたのです。曲名は「ピンク色の愛」

ワクワクしながら、会社帰りの電車の中で再生ボタンをポチッ

「ふんふん、乱数らしいな~~(前半終了) (後半から)うん?あれ?えっ、ちょっと待って、なに言ってるの、えっ、待って、待って、嘘でしょ、やめて!!!」

電車の中なので必死に声は抑えましたが、感情はもうそれはそれは大変なことに。一人では抱えきれずに、唯一のヒプマイ友達に早急にLINEをしました。

強力なボディーブローをくらった歌詞がこちらです。

ボクには 足りてない ものはない はずなのに

あれ おかしいな あれれ、

調子悪いかも

あれ あれれ おかしいな

ポッケにしまっていた あれがない

それじゃさ ボクが生きる 明日はない

息が続かない

あれ そう あれがないのなら

もう ここには いれはしない

 ここにはいれはしないって、ポッセにはもういられないってこと?ポッケにしまっていた「あれ」って飴のこと?乱数がいつも食べていた飴には何か秘密があるの?

そして何よりも衝撃だったのが、「死」を連想させる内容だったことです。You Tubeのコメント欄を見ると色んな考察が飛び交っておりましたが、やはり内容はどれもネガティブなものばかり。みんな受け止めきれないよね、、、

他のメンバーの曲もこんな感じだったら本当に耐えられない。みんなもそう思っていたことでしょう。

その後、幻太郎のソロ曲「蕚」も解禁されましたが、いつも通り綺麗な言葉で紡がれた、曲調もポッセらしいお洒落ソングでひとまずホットしました。すごくバカっぽい感想になってしまい恥ずかしいのですが、難しい言葉たちの意味を調べて解釈する精神的余裕が無かったと言い訳させてください(笑)

最後に解禁されたのが、帝統のソロ曲「SCRAMBLE GAMBLE」です。これは乱数の曲とは反対の意味で泣かされることになります。

神頼みも金稼ぎも今は興味ねぇ

この仲間に全て賭けるぜ

この言葉にどれだけ救われたことか!!!!!!!ギャンブラーの帝統が金稼ぎに興味ないって言ってる。ある意味大事件ですよ(笑)

乱数には辛く困難なことが降りかかろうとしているけど、ポッセはバラバラにはならないんじゃないか、少しだけ希望が見えました。

救いを求めたドラマトラック ※ネタバレあり

トレーラーが配信されてから少し経ち、CDが発売されいよいよドラマトラックが聞けるようになりました。もちろん私のもとに届きましたが、怖くて中々聞けず・・・

でも乱数の声優白井悠介さんがTwitterで、「ドラマトラックを聞いてからの方が救いがある」と呟いてたので、救いをもとめて聞くことに。ただね、しらいむーーーそれもうちょい早く知りたかったーー(笑)と心の中で叫ばずにはいられなかった。

結論から言うと、確かに多少救いはあるなと私は感じました。

 

ストーリーは乱数がヨコハマ・ディビジョンのリーダー、碧棺左馬刻の事務所にいるところから始まります。乱数は左馬刻の妹をマインドハックし、中王区の言の葉党*1へ入れさせたことを告白したのです。マインドハックをしたのも、わざわざそれを左馬刻に話したのも、全ては中王区からの指示でした。しかし、中王区と繋がっていることは左馬刻には言えません。

自分の命よりも大事に思っている妹がひどい目にあわされた、それを知った左馬刻は激怒しヒプノシスマイクを取り出しバトルが始まります。しかし、乱数はバトルの途中で発作を起こし、左馬刻の事務所から逃げ出しました。

あのソロ曲を聴いてからこんな始まり方・・・ものすごい重病を抱えていてこの先長くは生きられないのかな。だから、もうここにはいられないって言ってたのか・・・色んな憶測が頭の中を飛び交いました。

その後中王区の勘解由小路 無花果(かでのこうじ いちじく)*2と話しているシーンになるのですが、乱数は二つのことをお願いします。

  • シブヤの仲間である幻太郎と帝統について教えてほしい
  • 飴の量を増やしてほしい

願いは却下されますが、ここでわかったことがあります。

幻太郎と帝統と組んだのは中王区から指示されたから。飴は発作を抑える薬であるが、最近効きが悪くなってきた。

ソロ曲に出てきた「ポッケのあれ」はやっぱり飴でした。いつも無邪気に飴を食べてるのは、名前に関連させた可愛らしいキャラ付けだと思っていたので、真実がなんとも辛すぎます。

幻太郎と帝統の秘密を知れば中王区の弱みを見つけらるかもしれないと思った乱数は二人を呼び出します。まず、この前のディビジョン・ラップバトルで自分たちが負けた理由を、信頼と絆がまだまだ足りていないからだと話しました。そして、これを乗り越えるためには秘密の共有が必要だと言います。

ここで私自身ずっと抱えていたFling Posseの違和感がはっきりしました。彼らは他のディビジョンと比較すると、ビジネスパートナー感が強いのです。まず結成の仕方から違います。他のディビジョンは兄弟、古い知り合い、幼馴染、が必ずチーム内にいるんですが、ポッセは乱数が声をかけて集まった訳で、昔ながらの友人などではありません。それも今になっては中王区からの指示だとわかりました。また、みんなそれぞれ秘密を隠していますし、自分の目的を持っています。ディビジョン・ラップバトルに出ることは自分の目的を達成するための手段だと考えているように思います。帝統はそんな難しいこと考えてなさそうだけど・・・(笑)

でも個人的にはポッセの馴れ合わない、干渉しない、クールなところが好きだったのも事実です。

秘密の共有に関しては幻太郎はあまり良い反応をしません。干渉しないと書きましたが、彼はかつて乱数の身辺調査をしたことがあります。そして乱数の人生そのものが嘘っぽいと直接話しました。乱数は「人には詮索されたくないことがある」と冷たく一蹴し、二度と過去のことに触れてくるなと命令します。幻太郎もそのことを反省し、それ以来詮索することは無くなりました。

今回の乱数の発言は以前の彼の考えとは矛盾しています。結局みんな隠し事はないと言ってなにも進展しませんでした。(一人だけ打ち明けたけど、ギャンブル絡みの相変わらずな内容だったわけで・・・(笑)乱数が望む回答ではありません。)

そんなやりとりをしていたら突然乱数が発作を起こします。心配する幻太郎と帝統に大丈夫だから放っておいてほしいと言い放ちます。二人が去ってから乱数は勘解由小路 無花果に会い、飴をくれと懇願します。

この時の乱数の痛々しい姿には心が痛みます。今まで明るく前向きで自由奔放だった彼が、必死に懇願している。初めて弱みを見せている彼の姿に聞き入ってしまいました。

結局飴は貰えず、憔悴した乱数が事務所に戻ると幻太郎と帝統が待っていました。仲間なんだから頼ってほしいと心配する二人を先ほどよりも冷たくあしらい、一人逃げ出します。このとき乱数は、所詮仕組まれたチーム、なんの思い入れもない、いつでも切り捨てるつもりだった。しかし、そんな感情を抱きながらも、どこまで行っても本物にはなれない自分たちのことを嘆き涙を流します。

先ほども述べましたが、これまでのポッセを見ているとビジネスパートナー感が強いと感じていました。だからこそ幻太郎と帝統が仲間だと言い切ってくれたことが本当に嬉しかったですし、ほっとしました。確かに秘密は抱えているし個人的な目的はある。でも二人はちゃんと本物の仲間だと思っていたんですよね。逆に言えば乱数だけがそうは思えなかったんだなと。中王区からの指示で二人に声をかけて結成したわけですから仕方がありません。それでも徐々に二人の存在が乱数の中でも大きくなり、本物の仲間になりたいと思っていた。中王区の弱みを握るために二人の秘密を聞き出そうとしましたが、本当は中王区とか関係なく乱数自身が知りたかったのかも。

一人逃げ出した乱数の前に彼と同じ声の人物が3人現れます。彼らは乱数に向かって「不要な感情なんて持っているから、失敗作なんて言われるんだ」と言い放ち、ヒプノシスマイクで乱数に攻撃します。今の乱数には立っていられなくなるほど強力な一撃でした。力尽きかけたその時、幻太郎と帝統が駆けつけました。二人が目にしたのはボロボロになった乱数と、乱数と同じ顔をした人間が3人。

もうお気づきかと思いますが、乱数はクローンだったのです。これまでのドラマトラックの会話から推測するに、この3人は乱数より後に生み出された完成品。乱数は人間と同じように複雑な感情を持っています。対してこの3人は、余計な感情を持たない、中王区により忠実な見張り役のクローンといったところでしょう。遺伝子を散々いじられてクローンとして生まれた。そのため、定期的にあの飴を摂取していないと命を落としてしまうのです。

幻太郎と帝統が加勢し、なんとかクローン3人を追い払います。彼らが飴をたくさん落としていきましたが、乱数はこれを食べたところで多少延命するだけだと嘆きます。

すると、幻太郎が語り掛けます。「乱数、奇跡って信じますか?」

BGMでStellaが流れる。あっ、この状況Stellaそのものじゃん。気が付いたとき、もう私の涙腺は崩壊しました。よく頑張った、私の涙腺。

「あなたが助かる可能性は小数点のはるかかなた先にある位置かもしれない。だが0ではない。であれば奇跡が起きるに十分」と幻太郎は語ります。そして最後に「一人で無理なら、我々二人が手伝いましょう」と優しく言葉を残しました。

帝統はサイコロを出します。「賽には神が宿ってる。偶数ならお前は助かる。奇数なら・・・・・まあ頑張れ!」このやりとり以前もありましたね。乱数が帝統をチームに誘ったときです。

乱数が振ったサイコロは奇数の目でした。しかし、帝統がサイコロをもう一度振り「よく見てみろ、偶数じゃねえか!」と喜びます。このやりとりもありましたね。あの時は乱数が振りなおして帝統を半ば強引にチームに入れました。その真似をしたんです。乱数も「どうせくたばるなら、そのバカな話に乗るのも一興だ」と笑います。嗚呼、泣ける。

そして最後に、幻太郎が秘密の共有をしようとします。しかし、乱数は幻太郎の言葉を遮り「俺がもし生き残ることができたらその時教えてくれ」と答えます。乱数は気づいたのです。秘密の共有なんてしなくても本当の仲間になれると。中王区を敵に回す、命がもつかもわからない、そんな自分のそばに二人はいてくれる。荒んでいた乱数の心に救いの光が射したことでしょう。

これからポッセは乱数を救うための旅に出ます。それはきっと茨の道になることでしょう。でも3人はバラバラにならなかった。奇跡が起きることを信じて歩き出した。それだけで前を向くには十分です。

正直ポッセ推しって辛すぎるなと思っていました。でも今回のドラマトラックを聞いて、何よりも固い絆で結ばれているポッセを好きになってよかった。ずっとビジネスパートナー感が拭えなかったけど、今回を期にかけがえのない中だと3人が思ってくれてよかった。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら思いました。

Stellaの伏線

Stellaの乱数のパートで「研究は気が付けば人の道を外れた」という歌詞があります。これはクローンとして生まれた自分自身のことだったのかもしれません。孤独と虚しさが表れていたのも、乱数の秘密を知った今となれば納得がいきます。そして、Stellaの後半も3人が旅経つ様子を語っています。

乱「叶うならいつか故郷が見たいな」

帝「なら決まりだ」

乱「あるのかもわからない」

幻「此処にいても変わらない」

帝「では虚ろなこの船が何処へ着(ゆ)くのか」

帝・幻「賭けてみないか」

改めて聴くと、乱数に故郷が見たいと言わせるのがなんとも皮肉だなと思います。そして、完全に今の3人とリンクしてますよね。Stellaが発表されてから約一年後、こんな形で伏線回収されるなんて・・・もう降参。一生ポッセに付いていきます。

もう一つ、前回この曲の中で私が好きな歌詞を書きました。

爪先は前に向けておく

立ち止まった次の一歩目でも間違えないように

爪先は前に向けておく

ただ一途な目でいつか過ちすら愛でよう

爪先はできる限る遠く踏み込む

振り返る時自分の影が追いつけないように

爪先は前に向けておく

暁の果てに問うこれは躓きを糧に飛ぶstory

これはポッセの3人が自分たちに言い聞かせていたんですね。3人とも爪先は同じ方向、前を向いている。ああ、よかった。

Stellaは今回のドラマトラックを聞いてから、お洒落な曲~ってテンションでは聞けなくなりました。もう只々泣ける曲じゃん。そしてポッセを表す名曲になりました。

最後に

ところで、乱数がクローンということは元がいるはず。今回それについては乱数が「話せば長くなる」と言っただけで明らかになりませんでした。今後の展開が気になりますね。

今回は私のシブヤ・ディビジョン愛だけに焦点を当てて書きましたが、他のディビジョンも色々抱えているんですよね。この先もドラマや曲を聞いて気になったことなどあれば書いていきたいと思います。

あと、ヒプマイはコミックも出ているのですが私は読めていないので、コミックも読んでもっと勉強したいと思います。

そして最後に。どうかFling Posseの3人が進む先に光がありますように。

 

 

 このジャケットを見て「みんな帽子被ってて可愛い!!」と思ってたのですが、「中王区の目から逃れるために被っているんじゃないか」と考察してる人がいて震え上がりました。私もそんな鋭い観察眼ほしい・・・

 

*1:ヒプマイの世界を牛耳る政府

*2:中王区で内閣総理大臣補佐官、警視庁警視総監、行政監察局局長を務める。中王区のナンバー2